二人の、恋の物語は順調に進んでいたかの様に思えた。
エリさんも今迄以上にモデルの仕事に意欲的で、恋も仕事も絶好調状態だった。
そんな、エリさんに、ある日事務所の社長から、移籍を進められた。
今の事務所の親会社に当る事務所に移籍すれば、今以上に大きな仕事が入ってくるし、まさに、サラリーマン風に言うと出世街道まっしぐら状態だった。
それに、継人さんと出会って今迄以上にモデル業に真剣に取り組んで来たエリさんは、いつからからか自分の目標が、モデルとして大成する事になっていた。
ただ、移籍すれば、本格的に活動の拠点を東京に移す為、今の生活を維持する事は難しかった。
「エリお前の夢って何?」
ふと、一緒に夕食をとっていた時継人さんはエリさんに尋ねた。
「うーん、もっとモデルとして成功して、継人が崇めるぐらのスーパーモデルになる事かな?」
「そっかぁ。なら俺は、そんなお前を応援するよ。」
何でそんな事を急に聞かれか疑問に思ったが、継人さんの言葉が嬉しくて、エリさんは、幸せだった。
次の日の朝、エリさんは、撮影の為に沖縄に飛んだ。
継人さんと一緒に食事をしたのがそれが最後だった。
撮影から帰って真っ先に、継人さんのマンションに向かうとそこには、自分の帰りを迎えてくれる人の姿は無かった。
慌てて継人さんに電話しても繋がらない。
継人さんが勤めていた会社に電話すると、すでに会社を辞めた後だった。
エリさんは、相当困惑した。
ほんの一週間の間に、自分が手にしていた幸せが影も型も残さず消えたのだから当然だ。
そして、何回か面識のあるキンヤさんに連絡をとって、あの衝撃の面接へと物語は繋がる。
「あの後、継人に怒られたよ。」
「ははっごめんね。本当あの時は、訳わかんなくてさ、凄く不安で、そして、頭にかなり血が上ってて、笑美花ちゃんにも悪い事したわね。」
ショボンとした、キンヤさんの背中を撫でながら、当時の舞台裏を知って複雑な表情の私に、エリさんは、謝罪した。
あの後、お店を出たエリさんは、1番に事務所の社長に連絡を取り、保留していた移籍の話しを受ける事にした。
この失恋で、自分の足が止まるのが怖かったってエリさんは言ってたけど何となく解る。
そして、忙しさの中に身を任せて、目の前の事を一つずつ消化して行くと、気がつけば世間から、スーパーモデルとして認識してもらえる様になっていた。