うわぁこんな元気無いキンヤさん何かキンヤさんぽく無いかも。
凄く昨晩の出来事気になってたけど、この様子みると触れない方が何か無難な気がした。
「なんか色々と大変ですね。」
「そうだね。継人も今日からドイツ行ったしさ。」
「何でドイツに行ったんですか?」
「さぁ、訳までは、聞いてないけど…笑美花ちゃんは、何か聞いた?」
私は、大きく首を振った。
キンヤさんも、継人さんの渡独の理由は知らないんだ。
「昨日はあの後、何処に行ったんですか?」
「JINに行ったよ。」
「あっ、私も何回か友達と行ったとこ有ります。」
「女子大生多いもんね。」
「けど、継人さんがJINって以外だなぁ。」
「そう?けど継人はJINのオーナーだからね。ほぼ毎日、ここの営業終わったら、営業報告聞きに行ってるよ。」
えっ?!この三年間、全く知らされてない事実を今知ってしまった。
グラスを拭いてた手を止めて驚いてた私の様子を見て、
「あっ、これ言っちゃ駄目なやつだっけ?」
と自分の口の滑りの良さを少し後悔している様子だった。
「多分、駄目なんじゃないですか?継人さんに聞いてないし。」
「だよね。けど思ったより驚いてないね。」
確かに、少し驚いたが、別に継人さんがここ以外の収入源を持ってた事は、だいたい想像出来ていた。
お店の売り上げ、仕入れ、人件費、光熱費、家賃は無いけど、どう計算しても、純利益なんて少ないし、継人さんの普段の様子から、このお店で一儲けしよう的な行動を見受けられなかったから。
「まっ、私も大人になりましたからね。今更、継人さんの秘密の一つや二つ知った所でおどろきませんよ。」
「そっかぁ…継人も昨日似た様な事言ってたよ。」
「えっ?」
「いや、笑美花は、俺達が思っているよりずっと大人だって。」
またまた、予想だにしない誉め台詞?を私の知らない所で。
どんな話しの流れでそんな会話になったか解りませんが、少し嬉しい。
「あっ、笑美花ちゃん。今日、初めて笑顔になったね。」
キンヤさんがニヤニヤしながら私を見ている。
そう言えば、昨晩の出来事以来、あんまり笑ってない様な。
「キンヤさんも、いつものやらしい笑顔、今日初めて見ました。」
人の笑顔って不思議で、自分が笑う事で相手の笑顔を引き出す。
私達は、お互い色々と思い詰めてたものを振り払う様に、スマイルになった。