今にも泣きそうになった瞬間、
「パシャッ!!!」
驚いて、音の方向を見ると隣のDJの彼がお酒をかけられ濡れている。
何が起きたかマリーさんが理解するのにはそんなに時間がかからなかったらしい。
「何すんだよ!!!!いきなり!」
一瞬の出来事だ。
DJの彼が継人さんの胸ぐらを掴んだ瞬間、継人さんは、彼の脇腹にパンチを一発。
口から汚物を吐きながらお腹を押さえ倒れ込む彼に継人さんは、
「うわぁキモい。悪いんだけど臭いから二度とクラブに顔出さないで。」
本当に、一瞬の出来事だ。それでも継人さんがその時放っていた空気は、周りの時を一瞬凍りつかせた。その場にいた、殆どの者の視線が継人さんに集まった。
継人さんは、そのままクラブを出てしまった。
あまりの衝撃に、泣きそうだった自分を忘れたマリーさんは慌てて継人さんの後を追いかけた。
「さっきは、ありがとう。でも何で?」
継人さんを捕まえたマリーさんは、とりあえずお礼を言うと。
継人さんは、何事もなかったように。
「何が?俺はただ単にムカついただけ。だから殴った。」
不器用な台詞だったがマリーさんには、継人さんの優しさ?が伝わった。
そして恋に堕ちたらしい…
マリーさんは、その日からおネエの自分を隠しながら生きる事を辞めた。
それは、おネエな自分を隠して生きる事は、あの時初めて本当の自分の為に暴力を振るった継人さんを裏切る事になる様な気がしたらいの。
「多分あの時クラブで泣いていたら私は、一生本当の自分をだすことなく卑屈になっていたと思うわ。」
マリーさんは、嬉しそうに話す。
因みに、継人さんはマリーさんの強引すぎるお誘いを断れずショーのカットモデルを引き受け、マリーさんはそのショーで授賞したと自慢された。