俺は、一息つくと早速彼女に、今日来た目的と麗人の日記によって知り得た事を順を追って話した。
その間、彼女は静かに俺の話に耳を傾けてくれた。
「本当にごめんなさい。」
「別に良いんですよ。俺は美咲じゃないからあいつがこの件についてどう思うかは解りませんが、少なく共俺は貴方達を責めるつもりなんてないですから。」
「ふふっ顔だけじゃなくて優しいとこも麗人さんにそっくりね。」
要約今日初めての彼女の笑顔を見る事が出来た。
美咲にしても、彼女にしてもやっぱり笑顔が一番良く似合う。
そっ俺が訪ねたのは、美咲の母親だった。
「まぁ親子なんで似ます。それに似てるのは、お互い様ですよ。」
彼女は、そうねって小さく頷き優しい瞳に映る俺の姿に麗人の面影を見つけて少し切ない表情を見せる。
そうして、当時の思い出話しを聞かせてくれた。
「あの頃の私は、まだ子供で麗人さんの優しさに甘えていた。一緒に過ごした時間は、罪深く許されるモノだなんて思ってないけど、それでもあの人との時間は私の宝モノの一つだわ。」
「麗人も似たような事日記で書いてましたよ。それに俺は二人程頭が固くないんで、二人は罪の意識を強く持ち過ぎですよ。モラルとか罪って国によって違うし、昔の日本にだって妾の文化があったぐらいなんで。」
「ふふっ有難う。本当優しいのね。けど本当に貴方達二人には、悪い事をしたと思ってるわ。」
「俺も、それに多分美咲も、出会って恋をした事に一切の後悔もないし、それが例え異母兄弟だったとしてもです。貴方達と同じであの時間は、俺の中で掛け替えのない尊い時間ですから。」
俺は、優しい言葉で彼女の心に何十年もきつく絡まりついていた重い鎖を断ち切った。
麗人は、日記の中でも死の直前まで優しい彼女が罪の意識に蝕まれていく事を危惧していたし、それを断ち切ってあげるのは、真実を知った俺の役目なんだと思ってた。
縛りつけていた年数が長いだけに、跡は残るかもしれないけど…
彼女の頬を細い透明な水滴がゆっくりと流れる。
彼女は、その水滴を指で止めて恥ずかしそうにはにかみ、俺に頭を下げた。
年齢的には、50前後ぐらいだろうがまだ少女のあどけなさが残っていた。