貴方の掛け声と同時に今迄喧騒の中にいた二人が真っ直ぐに駅の改札口へと走り始めた。
貴方は、彼等がギャラリーをよけながら走り抜けた姿を確認すると、二人を追う様に走り出す。
今迄殴り合いをしていた男子も私達ギャラリーも一瞬の出来事に時間が止まった。
貴方は、ギャラリーの外側にいる私を見つけると走り際耳元で、
「早くしないと乗り送れるよ。」
そう囁いた。
貴方の言っている意味を理解するのは、改札口の渋滞に巻き込まれた後だ。
貴方達は、貴方が前もって駅員に渡していた三人分の通学定期を受けとり颯爽とホームに消えていった。
貴方は、多分あの状況で一人だけギャラリーから距離を取っていた私に気づいててそんな言葉を言ったのか今となっては、真相を確かめる事は出来ない。
そして、三回目に会ったのは、冬の期末テストが終わり、友人達とプリクラを取りに街に繰り出した時だ。
友人の一人が貴方を見つけた。
貴方は、私の学校でも男子に凄く人気が高い先輩と一緒に歩いていた。
そんな、貴方も私の通う学校でも凄く人気があって、友人は美男美女の貴方達カップルを羨んでいた。
貴方は、見た目は凄く優しい笑みを浮かべていたが私にはそれが凄く痛々しく映って見えた。
理由なんて解らない。
けど、私が初めて春に駅で見惚れた笑顔と少し違って見えた。
何処か寂しそうで、無理している様に思えてならなかった。
それから、一ヶ月して校内の噂で貴方達が別れていた事を知った。
私は、秋から入った生徒会で一緒になっていた先輩に貴方と別れた理由を聞くと、
「一緒に過ごしててもまるで掴めない雲の様に、彼の心が解らなかったから。」
と私に話してくれた。
その頃からなんだと思う。
貴方と言う人間に興味を惹かれたのは。
だって、これまでのたった三回で私にそれぞれ別々の顔を見せていて、貴方と言う人間に興味が惹かれていた。
でもまだ、それが好意に変わるまで時間は、高校生活二回目の春まで進めなければいけない。