継人さん達三人を見送った後、一人で後片付けを済ませた私は、カウンターに座り少し考え事をしていた。
絶対おかしい???
だって、あの継人さんが私に対してあんなに素直に謝ってしかも埋め合わせまでするなんて言うんだから。
絶対何かあったんだ。
ただその何かが全く想像出来ない。
と言うか今までも継人さんの事を理解しようと、何度も迷宮入りを味わってる私は、その何かに対して深く考えない事が得策なのは、今までの経験で理解出来る。
でも気になる。
本当厄介だ。
カウンターで一人モンモンとしていると、お店のドアが開く音が聞こえて慌てて振り向いた。
「何だ。まだいたのか?」
私の悩みの種がいつも通り何事もなかった様な涼しい顔をしていた。
私は、慌てて時計を見るともうすぐ0時にさしかかろうとしていた。
随分長い時間モンモンとしていた様だ。
「あっ!すいません。ちょっと考え事してたら、こんな時間に。」
予想外の登場に慌てて席を立ちお店を出ようとすると、継人さんに手を掴まれた。
「そんな慌てるなよ。ちょっと付き合え。」
私は、カウンターに引き戻された。
勿論マイペースな継人さんに逆らう術など未だに身につけてない。
「継人さん今日何かあったんですか?」
カウンター内で、グラスに氷を入れている継人さんに今日の悩みの種を投げつけた。
「そうだな。」
いつも軽やかに躱されるのに今日は珍しくヒットした様だ。
と言うか、少しお酒が入ってるから足取りが重いのかな?
「お前何飲むの?」
「じゃあカンパリロックでお願いします。」
私は、リアさんとの一件以来彼女の様にセレブは大人の女性に憧れる様にカンパリを愛飲していた。
まぁ愛飲と言う程お酒に強い訳でもないのですが。
いつもカンパリが持つ独特の苦味が大人への第一歩と感じている。
継人さんは、二人分の飲み物を手際良く準備して私の隣に腰掛けた。
「随分早かったですね。私はてっきり朝までコースかと。」
「あぁ。明日朝早いからな。お前が店にいたのは、予想外だったけどな。」
継人さんは、私をじっと見ながらグラスに口をつけた。
慣れたと言えこの人に見つめらると恥ずかしい。
緋色の瞳は、深く澄んでそんな私の赤裸々な気持ちを読まれてるみたいだ。