千尋は、初め私達に迷惑がかかる事とと思いもよらぬ提案に困惑し乗り気ではなかったが、真尋さんが一度お互いに距離を取る為、そして此れからの人生を私の娘としてではなく1人の女性として歩んで行くのなら黒川家のいや私の元を離れた方が良いと説得された。
そして、真尋さんは千尋が失踪してからの行動を予想して千尋に話し、必ず私が1人で千尋を見つけたら会いに行くだろうと話し、それまで少しゆっくりと今後の自分の人生の事や、私との事を考える時間に充てる事を勧められた。
話しを聞いていて驚いたが正にその通りなのだ。
真尋さんの唯一の誤算は、真尋さんの予想では一ヶ月もかからずに私が千尋を見つけ出す筈だったのだが大人が協力者になって匿われると未成年の捜索には思いもよらぬ時間が取られるようだ。
千尋が想像していた以上に協力的な真尋さんに何故こんなに親身になってくれるのか尋ねると
「そうね。普通の大人ならきっと貴方の事を責めていたかも知れないし、直ぐに麗人さんの元から引き戻し二度と二人が会わない様に法的処置をとるかもしれないわね。」
「そうですね。私もそうなる事を覚悟の上で貴方に相談しました。」
「またそんな顔して。さっきも話したでしょ。真実を知った今貴方には選ぶ権利があるのよ。麗人さんは、私達家族が共に生活する事を望んでくれているし、私もそれを望んでいたわ。けどね、可愛い孫の初恋を応援も出来ない意地悪なお婆ちゃんには、私なりたくないのよ。」
真尋さんの話しを聞いて、千尋は真尋さんの話し方が凄く可愛らしくて不思議と笑みがこぼれた。
ここ数時間、私が奪った千尋の微笑みを取り戻してくれた真尋さんの愛情の深さに感銘を受けるばかりだ。
そして、明け方まで二人で今後の計画を入念に立てた。
「不謹慎かもしれませんが、あの時間は二人でワクワクしながら計画を立てていましたのよ。」
千尋は、ニコニコしながら私に話す。
「それにしても急な計画だね。真尋さんにはすまない事をしたよ。」
「私もまさかこんなに直ぐに実行出来るのか不安でしたが、真尋さんはお父様が思う以上にパワフルで行動的なんですよ。」
当時の風景を思い浮かべて千尋が微笑む。
女性は、誰もが普段は出さぬ内に秘めた力を持っていて、いざその秘めた力を発揮されると私達男性が想像も出来ぬ行動を起こす力があるのだと実感させられる。