「ねぇ!ちゃんと話し聞いてんの?笑美花っ!」
友人の呼ぶ声で、桜を見ながら楽しいお花見の風景を妄想していた私の意識は、大学のカフェテラスに呼び戻された。
「えっ??うん…えーっとー。」
友人の呼びかけに答えれず戸惑う私の顔をみて、小さなため息の音が漏れた。
「はぁっ…あんたの事だからどうせ桜みながら、平和な妄想してたんでしょ?」
「えっ?そんなことないよっ!」
この的を得過ぎたするどいツッコミをいれた女性の名前は、千頭百合ちゃん。
私と同じK大学一年で、同じ学部だ。
百合ちゃんとは、出会ってまだ一ヶ月しかたたないが一言で表すなら才色兼備と言う言葉は、彼女の為に存在する様な気がする。
大学を首席で合格、一緒に街を歩いていてナンパやスカウトに声をかけられた回数27回!
今は、K市にあるキャバクラでバイトしていて、入店間もないが既にお店のナンバーONEになりそうなぐらい人気がある。
性格は、しっかりしていて面倒見が良くて、おっちょこちょいの私との相性は抜群なのだ!
「あれでしょ?えーっとー花見の話し。」
私が当てずっぽうに答えると百合ちゃんは、右手で重そうな(中身たっぷり)頭を押さえて、
「やっぱり。聞いてないっ…あのねあんたバイト探してたでしょ?私が勤めてるお店の店長の知人がBARをオープンさせるんだけど今バイト探してるんだって。笑美花どうする?」
「お願いします!」
私は、すかさず百合ちゃんの手を両手をがっしり掴んだ。
百合ちゃんは、そんな私を見て笑いながら、
「本当笑美花って面白いよね。
了解。じゃあ早速店長に電話して詳しい話し聞いてみるよ。けどその前にとりあえずこの手…」
百合ちゃんの視線がテーブルの上の二人の手に向けられた。
私は、すぐに手を離し百合ちゃんが電話をかける姿を期待の眼差しで見つめた。
「今電話したら早速今日面接してくれるって。とりあえず履歴書持って来てだって。場所は、アーケード抜けた並木道の角だってさ。」
「百合ちゃんありがとう!愛してるよ。」
私は、再び勝利の女神(百合ちゃん)の手をがっしり握り感謝の気持ちを心から伝えた。
「はいはい。とりあえず落ち着いて。笑美花どうせ履歴書書いた事ないでしょ?一緒に書いてあげるから、とりあえず購買部に行こう。」
百合ちゃんは、感激する私をなだめながら初めてのバイトの面接の私の心配をしてくれていた。
私は、神様にこんな百合ちゃんとの出会いを感謝した。