自分の手に余る真実を知った。
憎悪、戸惑い、哀れみ、苦痛、様々な感情に支配されると思ったが、俺の胸の中に残った感情は、不安だった。
麗人、本人が生きていたならこの不安を取り除く事も出来たかもしれないが、現実はそう甘くはなかった。
俺が、描いてた麗人のイメージと真実が酷くかけ離れていたが、日記を読み進めるうちにそのズレも解消できた。
今では、不器用に自分の大切なモノを守る為、その数奇な運命に翻弄された麗人に対して、愛しささえ感じる。
「あんたが俺に残してくれた、真実のピースは、綺麗に集めてやるから、だから、いつかそっちで会うことが出来たら一発殴らせろ!」
霊園に、眠る麗人に軽い宣戦布告をした。
もしこの世界が、神様とか、運命とか、宿命なんかの不確定なモノに支配されているなら、今すぐにでも、戦いを挑みたいぐらいだ。
だが、何にしても、俺がこの日記から推測する真実を手に入れた時、確実に、今現在の、仮初めの真実が壊れる。
俺は、その破片から、大切なモノ達が傷つかぬ様、守る事ができるのか?
守る?それじゃ麗人と一緒か。
俺も、麗人も何処か、自分以外の存在を下に見下す癖がある。
それは、自分が備えている、知能、体力、財力、容姿等からくる変な自信が引き起こしてるのか、元々個人が備える性格の歪みが関係してるのか、本当嫌なトコも麗人そっくりだ。
最悪な結末を迎えたとしても、俺は、自分の大切なモノ達とその先に生きる未来を共に生きて行く。
それにしても、これから確実に自分が手にする真実によって、人が傷つくと解りながらも、行動を起こそうとする自分のドSっぷりに感心してしまった。
「ごめんね。テヘッ。」
で済むはずないか...........