彼女が私に隠していた、真実について考えたが、ろくな答え等見つかる筈もなかった。
「君は、私にどんな真実を隠してたと言うんだい?」
「フフッ、その真実は、ここ数年私の事を酷く苦しめたの。時に、私を燃やし尽くす程激しい炎の様に、そしてそれは、凄く質が悪くて、私がもがけばもがく程私の心を魅了して止まないの。何度もこの真実から目をそらしては、気がつけばいつも、私の心を虜にして離さないの。」
彼女が何を話しているのか、全く理解出来ずにいた。
私達が隠していた真実を知り、そのストレスで頭が可笑しくなったのかと思った。
「でも、今日やっと解放されたの。もう、思い悩む必要もなくなったし、誰かに隠す必要もないの。」
「はぐらかさないでくれないか…」
彼女に対して、少し業を燃やした私の言葉を遮る様に、彼女は、私に覆いかぶさる様に倒れこみ、頭を掴み、そして、唇を重ねた。
あまりの出来事に、身体が固まった。
彼女は、重ねた唇と私の頭を掴んだ手をゆっくりと離す。
「ずっと、ずっと、貴方の事を好きでした。」
彼女の急な発言を理解する事が出来なかった。
先刻から、私の胸の中にある黒い煙の様なモヤが全身を包み混む。
「ずっと、こんな自分の事を蔑んで生きて来ました。だけど、今日、貴方が私に隠していた真実を知って、自分のこの気持ちが恥ずかしいモノではなくて、1人の女性として正統性のある感情だと解りました。」
何を言ってるんだい?
誰か、愚かな私にも理解出来る様に説明してくれないか。
「私が真実だと確信した時、今まで貴方との間に築いた関係が崩れる事の恐怖よりも、貴方とこれから築いていけるかもしれない関係に対しての期待が上回ったの。」
嬉しそうに話す彼女の姿をただただ見る事しか出来ない。
身体が言うことを効かない。
違う、身体をコントロールするべき頭脳が思考する事を拒否していた。
彼女が話す、真実を受け止めれる程、私は強くなかった。