世の中の構造は、凄くパズル的なモノだと思う。
一つ一つの出来事は、小さな意味しか持たなくても、それが重なり合うと大きな意味を持つ真実へと辿り着く。
ただ、その作りが酷く複雑で、一つ一つのピースが細かい為に、その真実に辿り着く人間等、ほんの一握りだ。
そして、私の目の前に、そのパズルを完成させた人物が現れる等夢にも思わなかった。
「何処から気づいてた?」
ベッドに横たわる私の、上半身を固定する様に上にまたがる彼女は、間接照明の淡い光も手伝って、いつもよりも妖美に私の瞳に映る。
「フフッ何処からでしょう?」
私の心情等御構い無しに、微笑む。
「君に嘘を吐いていた、私を恨んでいるかい?それとも、私達大人に振り回された自分の人生を哀れんでいるのかい?」
「恨む?何か勘違いされてますよ。」
彼女が今何を考えてるのか私には、検討もつかなかった。
「勘違い?」
「ええっ。貴方がたが私に隠していた真実なんて、本当は、ずっと昔から、何処かで気づいてました。ただ、確信を得たのは、今日ですけどね。」
「そうかぁ…」
男が女に、隠し事をばれた時の無力さ程情けないモノは無いかも知れない。
「貴方が私に隠し事をしていた様に、私にも貴方に伝えていない真実がありました。」
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彼女の予期せぬ発言で、胸の中で何か黒い煙の様なモノで覆われた感覚に襲われた。
「フフッ、そんな顔初めて見ました。」
「良い加減にしてくれないか。」
この状況を、打破する事など簡単だった。
私の身体にまたがる彼女を跳ね除けて、部屋を出れば事足りる。
ただ、それは解決には繋がらないし、下手に明らかにいつもと様子が違う彼女を刺激したくなかった。
腕にはめたままの、時計の針を進める音に合わせる様に、自分の呼吸を整える事に努めた。