彼の案内のおかげで滞りなく、大学の下見を終えた。
彼のおかげで実際の講義の現場も見学させてもらったし、日本人コミュニティの充実ぶりも確認出来た。
「千尋なら、すぐ環境にも溶け込めるし、何なら来春から、私の研究のサポートを頼みたいぐらいさ。」
と、彼の太鼓判も頂いた。
千尋自身も、実際の大学を見て自分の将来のキャンパスライフに、胸を膨らましている様子だ。
「お父様がおっしゃってた通り、ここの大学は、凄く先進的で、来年が楽しみですわ。」
私が、この大学を千尋に勧めたのは、先進的な大学の講義でも、知人の太いパイプがあるからでもない。
この大学は、アメリカの大学の中では数少ない、都市部にある大学で、決め手は、その立地条件だ。
交通の便も発達しており、充分真尋さんの家から通える距離にある。
「忙しい中すまないね。おかげで充実した時間を過ごす事が出来たよ。」
「気にしないでくれ。それに、優秀な助手候補を確保出来たのは大きいし、何よりそれがこんな素敵なレディなら、私の研究もはかどりノーベル賞も近い将来取れるさ。」
「あぁっ。その論文とノーベル賞受賞を楽しみにしてるよ。」
「それでは、ミスターお元気で。夕食の買い物をしてあげれないのが唯一の心残りですわ。」
彼への感謝の言葉に軽い冗談を混ぜながら、別れの挨拶を済ませた私達は、そのまま、真尋さんの屋敷へと向かった。
タクシーの中で、千尋は、彼に気に入られたのが嬉しかったのか、彼の論文の素晴らしさを私に熱心に説いてくれた。
千尋がこれ程、経済学に明るい人間だったとは知らず、少し驚かされた。
この様子なら、来年からのキャンパスライフもきっと充実したモノになるはずだ。