「ははっなんか可笑しいですね。いきなり愚痴ってすいません。」
「気にしないで。それに継人が相手じゃ愚痴も貯まるわよね。」
リアさんは、継人さんと付き合いが長いだけあり、継人さんの悪魔の様な本質を理解しているのだろう。
私の愚痴に反論一つする様子がみえない。
「リアさんは、何でそんな継人さんの保護者をしてるんですか?」
私の何気ない質問が彼女の表情をほんの一瞬だが曇らせた。
そして、グラスに残されたカンパリを飲み干し、小さなため息を一つついた。
「うーん、継人には秘密にしててね。」
恥ずかしそうに、話すリアさんの姿が今までの大人の女性からまるで幼い少女に変わって、そのギャップに一瞬ドキッとした。
「私の初恋の人に凄く似てるの。その人も継人に似てて、不器用で何処か寂しそうな人だった。私は、その人に甘えるばかりで、何もしてあげれなかった。だから、継人には、その人の様になって欲しくなくて気にかけてるのかもね。」
自分がした何気ない質問に対して真剣に答えてくれたリアさんは、少し寂しげな感じがした。
「そうなんですね。なんか変な質問してすいません。それにしてもこんな綺麗で優しい保護者の気持ちなど知らず、うちの店長は今頃どこで何をしてることやら?」
場の空気を変えたくて、足りない頭を使ってひねり出した台詞がこれとは、我ながら情けない。
「フフっ笑美花ちゃんは優しいのね。有難う。」
リアさんがまた、美しいセレブ笑いを取り戻したことに安心した。
「けど本当に今日は来て良かったわ。そうそう、さっき言った私の初恋の人と継人は、凄く似てるけど、一つだけその人が持ってなくて、継人が持っているものがあるのよ。」
「何ですか?」
「それはね、笑美花ちゃん貴方よ。」
??????????
リアさんの言ってる意味がイマイチ理解出来ずにいた。
「私ですか?」
「そっ。だから、継人のこと嫌いにならないであげてね。」
「はぁ。。。」
嫌いになるならない以前の問題なのだが、それに、不遇な片思いを一年以上経験している私は、不思議と継人さんへの気持ちが今後も変わらない気がした。
「遅くまでごめんなさいね。今日の事は継人には秘密にしててね。貴方に会えて良かったわ。」
リアさんは、そう言うとお会計を済ませ店を後にした。
春の悪戯な風の様な人だった。
時計を見ると、針は1:00を回ろうとしていた。