「ごめん。ごめん。少し勘違いさせたみたいだね。違うんだ、俺はただ知ってて欲しかっただけなんだ。俺達の愛の物語を。」
「えっ?」
戸惑う私を横に、
「Mr.麗人、俺達、今を生きる人間はさ、歴史の紡ぎ手なんだぜ。俺の存在も、アルマも、もちろんあんたも、親やいろんな先人の物語の先に俺たちは生きてるんだ。そして俺達の物語の先に生きる未来が千尋達だよ。」
「紡ぎ手かぁ。そんな考え方をしたことなんて一度もなかった。」
「そうだよな。俺も、アルマと出会い、千尋が産まれてからこんな風に考える様になったんだ。俺の生きた今の先に生きる千尋達に残せるモノなんて限られてる。きっと、戦争もなくなってないだろうし、暮らしも豊かじゃないかもしれない。けど、俺は生涯を通して愛を紡んでいく。その愛を、また千尋が誰かと未来に紡んでくれると願い。」
まるで、幼子が母親に自分の夢を誇らしげに自慢するようにケイトは、熱く語ってくれた。
それから私達は、明け方まで飲み明かした。
話は、不思議と尽きることはなかった。
私自身の苦い華奈との恋話の時には、ケイトはまるで自分の事の様に号泣しては、何度も私の背中を叩いて励ましてくれた。
紗耶香の話には、頭を抱え、共に悩んでくれた。

出会って、一日も過ぎない短い時間の中で私達は、お互いが昔か知っている気心が知れた友の様になっていた。
不思議な男だ。