途中何度も、諦めかけたが腕の中にいる小さな影が抱きかかえる幼子に、
「No te preocupes.」
と優しく語りかける声が、ケイトの足を前に進める原動力になった。
やがて、ケイトを心配して、現地の人間を連れて捜索にあたってくれていた人達と合流することが出来た。
「感動の再開だな?」
「そう思うだろう?」
「違うのかい?」
「本当、そんな余裕なんてなかった。彼女が俺の存在に気づいたのも、救出した子供の親を難民キャンプで見つけたあとだぜ。」
後頭部を掻きながら、苦笑いを浮かべる。

話を聞いた私本人すら、まるで中世の西ヨーロッパの劇の名場面の様にすら思えたが、当事者の二人はそんな余裕すらなく、保護されたケイト達は、アルマの強い申し立てで近くの難民キャンプにJEEPを走らせる。
ケイトは、強度の火傷と打撲で意識が朦朧とする中、優しく子供を抱きかかえるアルマの姿を確認すると、安心したのか眠りについた。
目を覚ますと、キャンプに臨時に設置された野営病院のベッドの上だった。
アルマと子供の安否を、見舞いにきた仕事仲間から確認すると、また眠りについた。
どれくらい眠っていたのか?辺りは暗く、テントの入口から月光が微かに入っている。
その僅かな光は、自分のベッドの傍らで眠っている人を照らしだす。
「アルマ!!!」
思わず声をあげてしまったケイト。
「ごめんなさい。つい気持ちよさそうに眠っている貴方の顔を眺めてるうちに。」
「いや・・・・それよりも無事で良かった。」
思わぬ夜の訪問者に戸惑うケイトをよそに、アルマはニコニコとケイトの顔を見つめる。
「どうしたんだいそんなに見つめて?」
「私を助けてくれた王子様の顔を忘れない様に、今心に焼き付けてたの。Muchas gracias.」
そう言って、立ち上がりテントを出ようとしたアルマを引き留めようとすると、彼女は振り返り、
「デート、楽しみにしてるはね。♪」
と満面の笑みを浮かべ、テントを後にした。