「ははっ其れは、グーの音も出ないね。」
「だろ?父も、その言葉を聞いて、要約納得してくれたよ。」
グラスに、注がれたバーボンで喉を麗し、ケイトはまた話し始める。
ケイトは、戦地に着くなり、仕事の傍ら出会う医療ボランティアの人々にアルマの情報を聞き出しては、その情報を頼りに、医療施設やベースキャンプを何箇所も探したが、中々簡単に運命の再開を果たせずにいたずらに時間だけが過ぎていた。
半年が過ぎた頃、拠点にしていた街の近くの小さな村が爆撃された。
ケイトは、取材の為その村に赴く事に。
自分達が、到着した時は、まだ村は炎に包まれ、煙に包まれていた。
「Ayudar!Ayudar!]
覚えがあるスペイン語の助けを求める小さな声が、ケイトの耳に届いた。
ケイトは、周りのスタッフの制止を振り払い、炎の中に飛び込む。
煙で周囲の様子も解らなかったが、小さな声を頼りにその声の持ち主の元へ走った。
倒れてくる木々をくぐり抜け、爆炎に襲われながらも。
やがて、二階建ての家屋に辿り着く。
木制の家屋は、赤く猛々しく燃えていた。
「Aqu.....」
二階の窓に、小さな子どもを抱えた一人の影が見えた。
「Come on!!!」
咄嗟に出た言葉だった。
今にも崩れそうな家屋を前に、ケイトの存在に気づいた影は
「Ok!!!」
と答え、ケイト目掛けて飛び降りた。
ケイトは、両腕でしっかりとその影を受け止めると、一旦下ろし、自分が羽織っていたジャケットでその影を包み、また自分の腕に抱きかかえると、煙の中走り抜けた。