ふとキンヤさんに目を移すと少し寂しげな顔をしている。
「どうしたんですか?」
私は、笑うのを止めて様子が変わったキンヤさんに話しかけた。
「いや…本当変わんないなと思って。美咲ちゃんが亡くなった時も『大丈夫』って強がってたし、今でも辛い事とか肝心な事を一人で抱えて生きてんだよな…」
「かもな。俺もあの美咲ちゃん捜しの時一回きりだよ。しかもあんな結果に終わったし…」

確かに、継人さんはいつも人に弱みを見せたりしない。雑用とかは頼むけど、自分のピンチの時でもそれこそキンヤさんの昔話しみたいに片足引きずりながらも「大丈夫。」って言って強がっている。
「俺さ…継人に憧れてて、でいつかあいつがピンチの時助けを求められたら助けてやりたくて、だから真央が言うよにずっと継人になついてるんだと思う。空手を始めたのもそんな理由だしな…」
キンヤさんは、寂しげに語る。
その表情がまた子犬みたいで今にも「キューン」と鳴き出しそうで切ない。
私と目が合ったキンヤさんは、
「まっ…今じゃあいつの都合の良いパシリみたいなもんだけどな。」
自分の今の状況を笑いながら話してくれたがいつもの可愛いらしい笑顔じゃなく明らかに作り笑いだと解った。
「そんな事ないですよ!継人さんは、キンヤさんの事誰よりも頼りにしてますよ!」
私は、そんなキンヤさんに自分の思いをそのまま口にした。
それは、キンヤさんを慰めるからとかじゃなくてこの二年間継人さんのお店でバイトしていて二人の姿を見てた私の正直な気持ちだ。
私の気持ちがどれくらい伝わったか解らないが
「恵美花ちゃんありがとう。」
キンヤさんは私にお礼を言ってくれた。
「まっ…俺が言うのも何だけど強がりな継人にはおせっかいなキンヤが必要だと思うぞ。」
真央さんは、大きな手をキンヤさんの頭の上にのせた。
「ThankYou。まっ真央も人の事言えないけどね。」
頭の上の大きな手を振り払い、舌を出して真央さんにあっかんべーをしてキンヤさんは笑った。