「意外に遅いね。最近の若い子はませてるから意外だなぁ…」
真央さんは、興味深そうに私の顔を覗き込む。
「だって実際恋愛どころじゃなかったんですよ!」
私は、二人と目を合わせない様にコーヒーの御変わりを準備するふりをして背を向けた。
「恋愛どころじゃないって何があったの?」
キンヤさんは背中越しに私に尋ねる。
キンヤさんとアカジさんの興味津々光線が背中にささる。
私は、御変わりの準備をしながら昔自分が事故によって大きな手術をして、その後遺症によって記憶障害になった事を話した。
「だから恋愛どころじゃなかったんですよ実際。一年間はほぼリハビリだったし。事故以前の記憶がほぼ無いんですから…」
二人にコーヒーの御変わりを差し出しながら当時の事を愚痴った。
「キンヤはん!メチャクチャいい子やん!健気やん!こんないい子他に知らんようち。」
キンヤはん?うち?
「そやろ真央はん!ホンマエエ子なんや!そんな健気な少女の初恋の相手は悪魔みたいな奴なんや!ホンマ悲しくて仕方ないですわ!」
私は、急に関西弁を喋り出す二人の顔を恐る恐る見た。
二人供目に涙を一杯ためて感動している。
「あの…」
恐る恐る二人に話しかけると、
ガシッと二人に手を握られた。
「笑美花ちゃん俺達は恵美花ちゃんの味方だからね!」
真央さんは目を麗せ私を見つめる。
「笑美花ちゃん。俺は相手が悪魔だから何も出来ないけど頑張ってね。」
キンヤさんは、控えめな応援をしてくれた。
「そう言えばキンヤさっきから悪魔悪魔って。誰だよ?」
真央さんは握ってた手を離し、キンヤさんの方を向く。
「お前も良く知ってる奴だよ。」
キンヤさんは、苦笑いをして答えた。
因みにキンヤさんはまだ手を握っていたので恥ずかしいから私から手を引っ込めた。
「まさか…」
真央さんが何か勘づいた様だ。
私は、お喋りなキンヤさんを睨んだが愛くるしい顔で知らないふりをされた。
そしてキンヤさんは隣で放心気味の真央さんに止めの一言告げた。
「そっ継人だよ。」
死の呪文を言われた真央さんは20秒程放心状態になった。
「キンヤさん!!!」
私はキンヤさんをまた強く睨んだ。
「ごめんね。テヘ♪」
「テヘ♪じゃないですよ。」
愛くるしい子犬みたいな顔で私を見つめるキンヤさんにそっぽ向いた。