今日も、こうやって昨日、目撃情報があった歓楽街を探しているが、一向に継人が見つかる気がしない。
「だずげっでぇ!」
ガシャンと窓ガラスが割れる音と同時に鈍い助けを求める声が聞こえた。
振り返るとキャバクラのテナントが沢山あるビルの二階の窓ガラスが割れていて路上に血を全身から垂れ流してうずくまっている男性がいた。
慌てて駆けつけ
「大丈夫ですか?」
声をかけるが、男性は震えるばかりで答えようとしない。
やがてコンクリートの階段から一歩一歩足跡が近づいて来る音が聞こえて来た。
嫌な予感がした…
その予感が当たらない事を願いながら階段へと目を向けた。
ビルの影から少しずつ現れたその姿は、全身返り血で真っ赤に染められ、そんな異様な自分の姿等気にかけていないように涼しい顔をしている。
道路に疼くまる男性をまるで道端にある小石を蹴る小学生の様に何のためらいもなく蹴りあげる。
間違いない!
一瞬目付きの鋭さと血の赤色に戸惑ったが継人だ。
継人は、男の側にいる僕に目もくれずゆっくりと何事も無かった様にビルに戻ろうとした。
「継人っ!」
出せる限りの声を振り絞って叫んだ。
継人は、振り返り目の焦点を僕に合わせた。
継人の瞳は、返り血で赤くなってるようだがその赤とは相対して今まで自分が見た事のあるどんな瞳よりも冷たく、その瞳に見られた僕は、動けずにいた。