「どうしたっけ?」
真央さんは、腕を組んで天井を見上げながら当時を思い出していた。
「えっ?覚えてないの?」
「うーん確かあいつに久しぶりに逢ったのが卒業式だったっけ?」
真央さんは、まだ天井を見つめていた。
「うん。あの時継人に殴り倒されてぶちギレた真央止めるの大変だったんだから。」
「えっ?俺が?」
真央さんは、不思議そうにキンヤさんに顔を向け自分の顔を指差す。
「そっ。貴方が。」
「今まで喧嘩無敗を誇る無敵の俺が?」
「えぇーっS市が産んだ魔王の貴方が。」
真央さんは、少し目を閉じ考え込んだ
そして十秒程経って
「あっ!思い出した!」
真央さんの目付きが鋭くなった。
「確かに…あの時は継人にしてやられた。」
声が明らかに怒りの色を帯びていて、目の前に継人さんがいたら確実に殴りそうな勢いだ。
こんな筋肉の塊の様な真央さんを殴り飛ばした継人さんは、ある意味凄い勇気の持ち主かも知れない…
「真央、笑美花ちゃんが怯えてるから。」
真央さんの怒り具合に緊張していた私をキンヤさんが優しく気に止めてくれた。
一瞬こんな優しくて可愛いらしいキンヤさんが近くにいるのに継人さんに恋をした自分の恋心を疑った。