「あっ継人君?!」
聞き覚えのある声に名前を呼ばれた。
視線を名前を呼ばれた方向に移すとキンヤの彼女の真奈美ちゃんがいた。
「久しぶり。」
俺は得意の営業スマイルをして真奈美ちゃんに近よる。
「どうしたの?」
彼女は、俺がこの場所にいる事が意外なような少し驚いた表情をしている。
「美咲は?あいつ今日学校来たでしょ?」
彼女が何でそんな表情をしていたか少し気になったがそれ以上に美咲の事が気になった。
「えっ?!」
彼女はさっきよりもさらに困惑した様子だ。
答えをまつ俺に、思いもしない一言を告げる。
「美咲なら今日両親と一緒に転校の挨拶に来たわよ。」
彼女が何を言ってるのか俺には理解出来なかった。
??????
「急な事だったから美咲とちゃんと話してないけど、てっきり継人君には…」
俺は、真奈美ちゃんの言葉を遮る様に
「解った。」
と答えてその場を立ち去った。
携帯を取り出し美咲に電話したが、呼び出し音が繰り返し聞こえるだけで、美咲のいつもの明るい声が俺の耳に届けられる事はなかった。
持っていた携帯を力なく車道に投げ捨て、携帯は走っていたトラックに轢かれ「グシャリ」と音をたてて壊れた。
携帯が踏みつけられた音ともう一つ自分の中で、何かガラスの様なモノが割れた音が聞こえた。
そして、俺の頭の中で、二度とあいつの笑顔がイメージされる事はないと悟った。
涙一つ流れない。
ただ今まで通り目の前の現実を受け止めた。
俺の今の気持ちを表すかの様に桜の花びらが風に吹かれて何枚も何枚も散っていく。
目障りだ・・・・