「どうしたの急に?」
彼女はいきなりのキスに照れている。
「約束のキスしただけだよ。」
そんな彼女のキスの後の照れている表情が好きでただキスをしただけなのかも知れないが、屁理屈を言って誤魔化した。
「ハイハイ。本当継人は、スケベなんだから。」
まだ照れている彼女に
「キス嫌い?」
と尋ねると、 今度は俺の身体の上に彼女が覆い被さり、唇を重ねて来た。
そして、ニッコリ笑って
「嫌いじゃないよ。」
と言って立ち上がり、まだ寝転がっている俺を見つめた。
こんな彼女の行動に今度は何故か俺が恥ずかしくなり、彼女から視線を反らした。
彼女は、俺が照れてるのに気付いたのか悪戯に微笑み
「私お花の中で、桜の花が一番好きなんだよね。」
と話し始めた。
「知ってるよ。」
「うん。私の美咲って名前も桜の花に準えてつけられたんだ。」
「ふーん。何となく解るかも…」
「そう?お母さんが桜の花が大好きで、桜の花の様に美しくその花を咲かして、桜の花の様に皆に愛される様にって願いが込められてるんだって。」
「まぁ美しいかどうかは別にして少なくとも美咲は、友達や家族から愛されてると思うよ。」
桜の木を見つめる彼女に対して俺が口を開くと
「継人は?」
子供みたいな無邪気な表情を俺に向ける。
俺は、立ち上がり彼女の手を繋いだ後
「桜が咲く頃また一緒に来ような。俺も桜の花は好きだよ。」
彼女の無邪気な質問をはぐらかして、桜の木を後にした。
「あっ…また恥ずかしがってる。」
俺をからかい笑っている。
こんな何処のカップルにでも見られる当たり前の幸せが続くと思った。