昨晩の継人さんに抱き締められた、熱がまだ身体に残っていた。

「って感じで継人と美咲ちゃんは付き合い始めたんだよ。」
キンヤさんは、ロックグラスの中の氷を回しながら話し終えた。
「そうなんだ…なんか映画みたいなお話しですね。」
「そっ…俺も次の日継人からこの話し聴かされた時はさ驚いたんだけどね。けど話す継人の表情が凄く優しくてさ。何か良かったって思った。」
キンヤさんは、優しく微笑む。
「それよりどうしたの?急に恵美花ちゃんから美咲ちゃんの事知りたいなんて…」
カウンター越しに、私の目をじっと見つめられた。
私は、昨晩の出来事をキンヤさんに話した。
キンヤさんは、一瞬表情を曇らせたが私の顔を見るとまたいつもの愛くるしい表情になった。
「で継人がお出かけ中に俺を呼んだんだ。けど気になるなら継人に聞いたら?」
「何か…継人さんには聞いちゃいけない様な気がして。」
キンヤさんから視線を反らした。
それは、嘘をついたから。
継人さんの口から「美咲」と言う名前が出た時、一瞬焼きもちにも似た感情に襲われたからだ。だから恥ずかしくて本人に聞ける訳無かった。
お店のスピーカーからずいぶん昔のLoveソングが流れた。
その曲は、恋人への気持ちを歌っている曲で英語が若干苦手な私でもつい意味を訳してしまった程素敵な曲だ。
話しをはぐらかす為、
「この曲素敵ですよね?」
キンヤさんに話しをふった。
「うん…良い曲だよね。」
意外に呆気ない返事を返された。