春の終わりと私の初恋の終わりを告げる様に、桜の花びら達がヒラヒラと舞い落ちる。
うつむきかけた視線をあげた。
私の初恋の相手は、普段の余裕のある感じと違い少し切ない表情をしている。
ドラマや映画で例えるなそろそろエンドロールと一緒に感動的なLOVEソングが流れてきそうな空気だ。
目の前にいる初恋の彼は、普段は、いい加減でわがままで、女性にだらしなくて、自分の外見が良いことと頭が良いことを自覚していて本当悪魔みたい、いやある意味悪魔に失礼なぐらい陰湿で。
けど、誰よりも優しくて、そして暖かくて、自分が傷つくことよも、誰かが傷つくことを嫌いいつも無茶ばっかして。
そんな彼に出会って三年、何回振り回されたか…
けどいつの間にかそんな彼に恋していた。
今は、自分の初恋が終わる瞬間がなんとなく解るんだ。
出来れば、今すぐ彼に抱き付いて泣きたい。けど私には、そんな資格はきっとないんだ。
だって私は、彼が生涯で唯一愛した女性の命を私が奪ったんだ…
彼は、煙草に火をつけて、閉じていた口を小さく開き、少しいつもよりも、低い重たい声で
「何で?って普段の生活の中で思う瞬間なんて今は限られてて、
気がつけば答えが既に用意されてて、自分自身が本気でその『何で?』に悩んで答えを求めることなんてないよな?」
彼は、うつむく私の唇が動く気配がないことを悟ると話しを続けた。
「多分、今なんだよな…今俺達の頭の中にある『何で?』に対して答えを出さなくちゃいけないのが。」