「いいかげんにしなさい!」
誰にも負けないような大きな声。
その後のセリフを想像すると
『胡桃は落ちつきなさい。紅葉は今回はあきらめなさい』かもしれない。
でもお母さんのセリフは
「胡桃は大人しく留守番してなさい」
だった。
そこへ「ただいまー。近所の横井さんに送ってもらっ……」って、のほほーんとお父さんが帰って来て
家の中のビリビリした空気に『ヤバいとこに戻っちゃった?』って顔をする。
「お父さん!」お母さんが叫び
お父さんは「はいっ!」って返事。
「紅葉をバス停まで送って行って」
お母さんはお父さんに命令し
胡桃に向かって「胡桃は部屋に戻りなさい」と、言う。
ぽかーんの私。
行っていいの私。
「バスに乗り遅れるから、早く行きなさい」
「おかーさん」
「全て忘れて楽しんで来なさい」
お母さんはニッコリ笑ってくれた。
ありがとう。お母さん。
「了解。ほら行くぞ」
お父さんに引っ張られ
私は泣きそうな顔した胡桃の顔を見て
自分も半分泣きながら
お父さんの車に乗り込んだ。



