「『絶対行かせない』ってマジで言ったから、もう引きまくった俺」
そこでバレたんだ。
「だから『行かない』なんて言うなよ」
黙りこくる私。
桜の樹の下で
しばらく黙り込む私と山村君。
沈黙に負けたのは私。
「胡桃は山村君が好きなんだ」
桜の花びらがヒラヒラと舞う。
「だから『協力してね』って言われた」
山村君は何も言わない。
「私より胡桃の方が可愛い。みんなそれは認めてる。私は元気でチャラいキャラで、胡桃は大人しくて可愛くてピンクが良く似合っていて、私より絶対おススメで……」
「お前の方が似合ってる」
桜の花びらが私の髪に落ち
山村君は一枚の花びらを長い指でつかんで
そっと私に見せてから
もう一度
髪に飾ってくれた。
「加藤の方が似合ってる。誰よりもピンクが似合う可愛い女の子」
「山村君」
「ライブ行くぞ」
頭をポンポン叩かれて
そのポンポンが
お父さんと同じ優しい叩き方で
本気で泣いて
私は「うん」ってうなずいた。



