さくら色した君が好き


ある日の5時間目

それは物理の授業。
山村君が「あ、教科書忘れた。見せて」って言い、私の机に自分の机をくっつける。

急接近にビックリしながら「いいよ」と返事。
教科書を挟んで
私と山村君は思いがけず密着。

シャーペンの持ち方が変だけど
字が綺麗だったり
消しゴムの使い方が乱暴だったり
近くで見る彼の指が長かったり


眠気スッキリのミンティアだ。

つい黒板よりミンティアが入ってる山村君のペンケースを見ていると

「欲しいの?」
山村君のひそひそ声が私だけに届く。

「え?」

「やるよ」

ミンティアがノートの上に飛んできた。

「眠いんだろ」

「ちっ……ちがうよ」

少し大きな声を出すと、先生に目を付けられた。

知らん顔でうつむくと
隣で笑いをこらえてるし

ムカつくなぁ。

ミンティアを自分の机の中に入れ
山村君に見えるよう
教科書の隅に【ありがとう】って書く。

すると山村君はその下に【お返し待ってる】って書いた。

なんだか

首筋が熱くなって
恥ずかしくて 嬉しくて
困った気分の私だった。