嫌な事ほど、時間の流れは速いんだね...


もう放課後だ。


理優と真奈には先に帰ってもらった。


外に出ると部活をしている人たちのかすかな声。





まだ波矢人は来てないみたい...


なんだろうこの気持ち。


モヤモヤしている。


ため息をつこうとした時



波矢人「七夏...」


!!


七夏「は、波矢人...」



しばらく沈黙が続いた。


それを破ったのは


波矢人だった。


波矢人「ごめん。」


え?


それは...

七夏「何に対してのごめんなの?」


波矢人「俺が...七夏と付き合ってからしたこと...に対して...」

七夏「...それはさ、私と…嘘で付き合ったことに対しても謝ってるの?」

波矢人「え...?」


七夏「だって、そうでしょ!?波矢人から告白してきたのに!!あの告白からすべてが嘘だったんでしょ!!ホントの事言ってよ!」

波矢人「んな...わけねぇだろ!!俺は本気で...お前のことが好きだよ!でもお前は...?」

七夏「何それ...私は...好きだから、告白をOKしたのに!」


波矢人「ならなんで...なんでヤキモチ妬いてるって言葉にしてくれないんだよ!!言葉にしねぇとわかんねぇだろ!」

七夏「え?」

波矢人「...これが...俺の本音だよ...かっこわりぃけど...」

七夏「何それ...」


そんなの...私だって言葉にしてくれなきゃわからないよ...


波矢人「七夏...。俺、かっこ悪いし、こんな事言うの...嫌なんだけどよ...俺、七夏に会うまで本気で好きになったことなんてないんだよ...いつだって周りには女がいたし、かわりなんていくらでもいたから。告白してきた女がいても、本気にはしなくて、断ることもしなくて。そしたらいつの間にか...断り方がわかんなくなってて...そんでめんどくさくなってよ、逃げたんだ。俺。でも、俺、七夏の付き合い初めて思ったんだよ。七夏は...俺の気持ちを受け入れただけで、ほんとに俺のこと好きなのかなって。だから、周りにいる女を利用して、七夏にヤキモチ妬かせようとしたんだ...でもそれが...七夏を傷つけてたんだよな...ごめん。」


なんで...


なんで...!

なんで!!

今それを言うの?

私は振られるつもりでここに来たのに...

その決心が揺らぐじゃん...

お願い...だから

やめて...


七夏「...そんなこと今更言われても...」

波矢人「...そうだよな。でも、俺、本気で七夏のことが好きだから。俺とやり直して欲しい」


七夏「...諦めてよ...」

波矢人「嫌だ。」

七夏「諦めてよ...」

波矢人「嫌だ。」

七夏「あき...ら...っめてよ!」

波矢人「絶対に嫌だ!」


なん...で?

ここまでしてくるの?

波矢人は私を


どうしたいの?


浮気の真実を知った今


私の中に


また現われてきた...


厄介な感情を

この時はただ隠すことしか出来なかった。