?「先輩のことが、好きなんです…!!」
?「…ごめん…俺、彼女いるから」
?「…知ってました」
?「え…」


困惑する彼___名本 剣«ナモト ケン»の目をじっと見つめ、私はニカッと笑った。


?「すみませんでした!!…お幸せにっ!」


一瞬の表情の揺れに気づかない彼は


剣「ありがとう。春風さんも…茉莉ちゃんも、いい人見つかるといいね」


そう微笑んで、去っていった。

土砂降りの雨の音が響く体育館で、私、春風 茉莉«ハルカゼマリ»は失恋した。


茉莉「…雨…か」


少し寂しく感じた私はすぐに笑って、かばんを取り早足で体育館を後にした。


茉莉「うっわ、聞いてたよりすごい雨…!!傘持ってないよぉーー」


あえなくダッシュで帰ろうとした私に、、そっと傘が差し出された。


茉莉「……え?」

?「これ、使いなよ、傘持ってないんだろ」

茉莉「え、いや、そうですけど…」

?「一応お前、女じゃん」


…一応って何よ一応って!!!!


茉莉「一応で悪かったわね!!」

?「別に。それよりこれ、早く受け取って。腕つかれる。」

茉莉「っ…いらないっ!」

?「風邪引く」

茉莉「いらないってばっ!!」


…やってしまった…!!!

思わず突き飛ばしてしまった彼は、そのまま水たまりに背面ダイブ。

私は何も言えずその場に立ち尽くした。


?「………」


数秒の沈黙の後、私は我に返り、慌てて手を差し伸べる。

………が、


?「迷惑だったんならごめん」


私の助けも虚しく、彼は普通に立ち上がってスタスタと歩いて行った。


茉莉「…なによ…せっかく助けてあげようとしたのに…」