【短編】秋空恋物語


沙世ちゃんは深々と頭を下げた。

「あ…頭を上げて!!
もう気にしなくていいの。わたしは…」

「お姉さんっ、お父さんのこと、好きなんでしょう!?」


沙世ちゃんの肩に手を置いているわたしの腕を、双馬くんが掴んだ。

「えっ!」


事実を言われたわたしは、思わず後ろに倒れそうになった。


「…父さん、いつもお姉さんの話してたんだ」

「お姉さんのこと好きなんだよ」

「お父さんも、僕たちも」


純粋な眼差しで、わたしを見る子供たち。


「お母さん…幸せになっていいんだよ。
お父さんは、そう言ってたんでしょ?」


後ろで、わたしの背中に抱き付きながら言った叶太の言葉に

わたしの中で、決心が付いた。


「ありがとう…。
叶太…市太くん、双馬くん、沙世ちゃん。
わたし、行ってくる」



わたしは、いつのまにか溢れていた涙を拭いながら

花村先生の家へと走った。