その後、悟は奥さんを連れて店に来てくれるようになった。美羽も旦那さんとたびたび食事をしに来てくれたし、調律師の知輝もピアノの音を整えるため店にも家にも来てくれる。
ミコトさんはハッピーエンド確定と言ってくれたけど、この幸せを維持するためこれからも努力することを忘れたくない。
普通、人生をやり直すことはできない。
やり直せた私は幸せだ。
失わないとそのありがたみに気付かない。失敗しないと分からない。通り過ぎてみないと理解できない。人はそういう生き物。
だから時々こわくなる。幸せに慣れすぎて傲慢になってしまわないか。ここにいることが当然になってあの痛みを忘れてしまわないか。
秀星と結婚した日は、星のまたたく夜空が綺麗だった。まるで二人の心を映し出したようにキラキラしていた。
心に描く星月夜。
秀星と紡ぐ星月夜。
永遠にしたい星月夜。
手の中からこぼれてしまわないように。
これからも大切な人のそばにいられますように。
それが今、ただひとつの願い事。
星月夜《完》


