マンション内のロビーで秀星を待った。
薄暗い空に月が見える頃、秀星がマンションから出てきた。
「レッスンお疲れ!」
「月海…! こんなところでどうしたの? もう帰ったかと思った」
驚かれるのも当然だった。こうしてレッスン後に待ち伏せなんて、過去にはしなかった。
あの頃は放課後まっすぐ家に帰って自分の練習をしていたし、秀星に会いたいと思うことはあってもこんな思い切ったことはできなかった。
「ごめんね、ビックリさせて。相談があってさ」
駅で電車を待つ間、知輝にしたのと同じ話をした。もちろんタイムスリップのことは秘密で。
すると、秀星は快く協力してくれた。
「今から行ってみるか! 美羽の彼氏の高校」
「いいの!?」
「野球部ならまだ残って練習してるだろうし」
「ありがとう!!」
「いいよ。俺も美羽のことは心配だったし、月海が元気ないの嫌だしさ」
秀星はやっぱり優しい。昔と変わらない。この瞬間の秀星も、親身に話を聞いてくれる。
私達は逆方向の電車に乗り、そのまま美羽の彼氏の学校へ向かった。


