「なんだろな。こんなに趣味のことしゃべったの、月海が初めて」

 こう言われると分かっていたのに、それでもドキッとしてしまった。

「……他の友達とはしないの? こういう話」

「するけど、みんな途中で飽きて他のことしゃべりだすから。最後まで聞いてくれたの、月海だけ」

「……私も、久しぶりに星見るのが楽しいと思えたよ」

「今までは楽しくなかったの?」

「こういうところ、子供の頃に飽きるほど連れてこられてたから。今じゃ、わざわざ夜の空を見上げたりしない」

 暗がりのせいか、普段話さないようなことまで話してしまう。秀星と話すのは今日が初めてなのに、まるで昔からずっとそばにいたような安心感と気楽さがあった。

「俺達、今日初めてしゃべるって気がしないな。ずっとそばにいたような感じ」

「……! 同じこと思った!」

「マジで!?」

 小声で私達は話した。時々黙って星を見た。そして、また話す。

 天井に浮かぶ人工の星は、冬から春、夏から秋へと移り変わり、それぞれの季節を繊細に彩っていった。とてもきれい。


 投映時間は50分。学校の授業1時間分より短い時間。

 でも、私にとっては大きな時間だった。

 星の解説をするアナウンスの声より秀星の声にばかり集中してしまう。