筋肉を動かせないのに
どう笑ったのかがもうだれにも分からない。


それを見たのもいのりだけ。


嘘を付かないいのりだから
信じた大人。



笑った奇跡から
少し日にちをずらすかのように
蓮は永い眠りにつく。


「れん、どこいったの?おかあさん、れんは?」


「蓮、居なくなっちゃったね。お空まで飛んで行っちゃったのかもね。」


3歳に死という言葉は理解が出来ない。



ただ毎日の様にいのりが話をかけていた蓮という子は急にいのりの前から去って行った。


笑ってくれたのにね。


静かな蓮の家。


肩を落とす大人。


蓮はもう居ない。


1年と半年も生きたよ。

いのりのお話を聞いてくれたよ。


「れんはおそらにすんでるの?」


「うん」


「そっか。たのしいかな。おそらはいのりいったことないからなぁ。」


いのりは居なくなる悲しみを分からないまま。泣かないまま。ただ蓮の楽しいを祈った。