ーーガラッ
教室の、後ろのドアが開く音が聞こえて、
私は慌てて涙を拭った。
そして自分の鞄を持つと、何事もなかったか
のように笑いかける。
部活終わりの、ひとつ年下の幼馴染
に向かって。
「お疲れ様。部活終わるの早かったね」
「...別に」
素っ気なく答えてプイっと顔を背ける彼に
思わず苦笑を漏らした。
彼はそんな私に視線を移すと、私の顔を
見て硬直した。
「ん?どうしたの?帰ろうよ」
「.......」
「...昴(すばる)?」
黙り込む彼の顔を覗き込むと、昴は小さく
呟いた。
「やっぱり...」
「え?何っ...」
『何て?』
そう聞こうとしたときだった。
彼はいきなり私の顎を掴んで上に向けた。
私よりかなり背の高い、彼の整った顔を
見上げる。
「...お前さ、何で目赤いわけ?」
眉を寄せて、不機嫌そうに言った昴に、
私は思わず目を見開いた。