「もう一本!!!」
水城くんへの集中練習が始まった。
これをみんなは『1人地獄』って呼んでる。
5分間レシーブを上げ続けろという練習。
簡単なようだが、簡単じゃない。
1本落とすと1分追加、終わるまでやる。
私は、去年1時間以上やった気がする。
ちゃんと、私は『終った』
でも、『終わる』人はほとんどいなくて、だいたいは『ギブアップ』
だから、先輩たちにも私は「すごい」と言われた。
まぁ、その日の夜ご飯食べられなかったけど・・・。
というか、吐き気に襲われたかな・・・。
それだけ、辛い練習だ。
それにスパイクは誰が打つかわからないし、
途中でツーアタックも混ぜてくる。
それをコート1面カバー。
考えだしたのは監督らしいけど、そもそも終わらせる気はない。
今年はスパイカー側だから、よかった。
水城くんとスパイカー以外の人は体幹トレーニング。
それが終ったら、サーブ。
キツくてしかたないこの練習。
でも、この壁を乗り越えるしかない。
「もう一本!!」
体育館に水城くんの声が響き渡る。
水城くんはすでに「ぜーぜー」いっている。
水城くんは手を膝についている。
それぐらいキツいんだ。
私にトスが上がりクロスにうつ。
水城くんはボールをはじいてしまった。
「1分追加!」
監督の声が響く。
そして、監督からのもう一言。
「女子の左利きのボールも取れんで、男子のボールが取れるか!」
今のスパイカーは私と女子のキャプテン以外男子。
今が『山場』だと思う。
「残り19分です。」
もうすでに40分以上やっているのに終わらない・・・。
私は辛すぎて『ギブアップ』するかと思ったくらいだ。
「宮﨑!打点落ちてきたぞ」
「すみません」
コーチからの指摘。
スパイカーもこれはこれでキツい。
何度も何度も跳んでスパイクを打ち続けなければならない。
水城くんに比べたらかなり楽か・・・。