青春ミルフィーユ

このあとはそれぞれ自主練習。
女子は練習試合に向けて練習だ。
まだ、6時半。
かなり、練習する時間はある。
でも、私は練習の前に・・・。
「水城くん、お疲れ。」
体育館のドアから少し出たところに水城くんは座っていた。
ビタミンドリンクを渡しながら言った。
「お疲れ様です」
いつもよりかなり元気はなくて、いつもの水城くんとはおお違い。
やっぱり、疲れているようだ。
「この練習、先輩たちもやったんですか?」
水城くんはボソッと声に出した。
やっぱり水城くんも『疲れ』には勝てないんだ。
「現2・3年でこの練習したのは私だけ」
私がそう言うと水城くんは「はぁ」とため息をついた。
「なんで、俺なんですか?」
「それは、1年のはじめのテストで1Aに来たからだよ。私もそうだったし。
それとこの練習の内容知ってたのもあんまりいない。
現2年は知らなかったと思うよ。だから、この辛さも知らない」
水城くんは下を向いたままだった。
監督にもたくさん言われるしね、この練習。
肉体的にも精神的にもやられるんだ。
「でも、この辛さを知ったからこれ以上辛い練習はないって思えるよ。
そもそも、この練習クリアしたの水城くん含めて3人だよ?
自分にもっと自信持っていいよ」
「でも、やっぱり俺には足りないことが多いんですよ。
今日、宮﨑先輩のスパイク、一本も拾えなかった・・・」
水城くんの声は暗かった。
というか、さっきの自分に悔しがっていた。
「良かったじゃん」
そう言うと水城くんの顔が上がった。
「何が、ですか?」
「自分の弱い部分を見つけられて。短所を見つけられて。
これから、短所をなくすために今みんなは練習してるんだよ。」
やっと目を合わせて話すことができた。
「水城くんは1A1番の成長株だね。」
水城くんは私が渡したビタミンドリンクを飲んだ。
「先輩、明日から、俺の自主練に付き合って下さい。」
「もちろん。喜んで。」
私がそう言うとに水城くんは笑顔を見せてくれた。
その笑顔はさっきまでの表情とは真逆だった。