それからも、『1人地獄』は続いた。
気づけば、始めて1時間以上たっていた。
私は今は体幹トレーニング中。
これが終わったらまた、スパイカーに復帰。
体幹、これはこれでキツい。
「タイマー止めて!水城、やめるか?」
監督が水城くんに言った。
水城くんはすでに膝を床についてしまっていた。
この言葉・・・、私も言われたな。
これは監督は水城くんを試してるんだよね。
「・・・ります。」
「ん?」
「やります!!!」
大きな声が響き渡った。
水城くんの精一杯の気持ちだ。
「あと、21分頑張れ。」
そう言って『1人地獄』は続いた。



「残り、3分!」
私はスパイカー側にいて私にトスが上がる。
次はストレートッッ!
水城くんはまたはじいてしまった。
「残り、4分!」
「もう一本!!」
それ以降、私にはトスが上がらなかった。
たぶん、セッターが「水城くんは私のスパイクを取ることができない」
と判断したからだ。
「残り、10、9、8、7」
残り数秒。
水城くんはスパイクを拾った。
そして、最後のスパイクは男子キャプテンだった。
このスパイクを水城くんは体でとった。
「2、1、終了!」
よかった、終わった。
水城くんの『1人地獄』が終わった。
記録は【92分】
1人地獄は120分を超えると自動的に終わるらしい。
「コーチ、私の記録って分かりますか?」
急に去年の記録が気になった。
私はどれくらいで終わったのか。
「宮﨑は63分だ。歴代最短記録だぞ。」
コーチは笑いながら言った。
そもそも、これをクリアしたの水城くんで3人目でしょ?
これから、抜かれるんだろうな・・・・。