『あ、風神鈴音さんですね?』
「そうです」
電話越しでもわかってしまうほどに、女性がガッツポーズをした感覚があった。
鈴音は、その女性が「風神さんです! 風神さんが入ってくれるみたいですよ!」と、叫んでいる声がした。
『では、明日、迎えに参ります! それでは!』
「え、あ、はい!」
ぱたん、と携帯電話を閉じた。
…………なんだあいつ。
鈴音はそう思って、携帯を机において、ベッドに飛び込んだ。
Shining……か。
あんな、王手芸能プロダクションにスカウト的なのをされるなんて。
鈴音は夢にも思わなかった。
入りたい、と思ったことは何回かあった。
しかし、行動に移したりはしない主義なのだ。
「…………漫画じゃん」

