氷上のプリンセスは



昼休み。


お昼は…というか基本的に友達はいないので学校では何をするにしても1人だ。

寂しいとは思うけど、仲良くなってからこっ酷く裏切られるくらいなら最初から友達なんていない方がマシ。

そんなわけでいつものごとく屋上に上がった。
普段鍵がかかっているのだけれどここの学園の理事長がうちの父親と仲がいいのもあって事情を話したら鍵を貸してくれた。

おかげで出入り自由。
けど、ピッキングで簡単に会いちゃうらしくたまに先客がいたりもする。

そんなんで学校のセキュリティだいじょぶかよ、って話だけどね。

今日の空は憎たらしいくらいに晴れていた。雲が1つも浮かんでいない。

本当はお弁当を食べるつもりで来たけど空を見たらそんな気も失せてしまった。
ゴロンと寝っ転がって空を見つめる。

けど太陽の光が眩しくて、目を細めた時だった。

いきなり私の視界に影が指した。
それは人影で、光にやられていた目を1度キツク閉じてゆっくりと瞼を開ける。

風に流されてやってきたらしい、青空に不似合いな千切れた雲が太陽にかかったとき、私の目のしょうてんがバッチリと人影を捉えた。

というか、


捉えてしまった。



「……何かご用で?」


「うん。昨日は逃げられちゃったからね。今日こそはちゃんと僕と話をして貰うよ?」


そう言いながら私の体をおもむろに起こしたのは、女子が見たなら大多数が失神するであろう極上の王子様スマイルを浮かべたアルだった。