氷上のプリンセスは



ありきたりな、よくマンガとかに出てくるようなイジメ。


やったのは同い年の子2人と年上の子が3人。全員小学生だったのもあって犯行が浅はかだった。おかげで直ぐに犯人は見つかったわけだけれど、これから新しい衣装を作る暇なんてあるはずもなく、


アイスダンスで出る初めての大会。


他の曲の衣装を引っ張り出してきて身につけたけれど、アルの身に付ける衣装とはなんだかアンバランスだった。


結果は準優勝。


初めての大会にしては上々だったと思う。けど、衣装を破られてからというもの、私への女子達からの風当たりは強くなった。


それがクラブだけでのことなら良かったけれど私とアルがペアを組み、なおかつ大会でそれなりの成績を出したという話は瞬く間に学校中に広がった。


学校でまでクラブと同じく思いをしたくはなかったからアルとペアを組んだことを黙っていたのだけれど、あっという間にクラスの女子どころか全校生徒の知るところとなってしまったわけだ。


まず最初に、良く物がなくなるようになった。


鉛筆

消しゴム

筆箱についてたキーホルダー


あれ、おかしいな

そう思って私が教室を探したり人に見てないか聞いたりしていると、一部の女子からクスクスと声が上がった。

それでだいたい犯人はわかった。

それからは出来るだけ自分の物は常に持ち歩くようにしたことでとくに問題はなかったのだけど、一番こたえたのは無視されることだ。


それは、中の良かった子も同じ。


私のことを無視しなければ自分がイジメを受ける。私も含めて、弱い子ばかりだった。


クラブでも無視されることが続いていて、親に相談することもなかった私は精神的に疲れてきていた。


そんな時に父親が仕事の都合でドイツに行くことになったの。


ちょうどいい機会だと思ったから、私もついていくことにした。


そして転校先で待っていたのはもっと酷い状況。


中学に入ったばかりの頃までは良かった。

スケーターとしての技術は身長も伸びて体力がついたことで格段に上がり、出たジュニア大会では全て優勝。


スケートが楽しくて仕方なかったわ。


けどね、ある時またアメリカにいた時と同じようなことになったの。


同じクラブの年上の男の子に告白されて、まだそんなこと考えたこともなかったしスケートに夢中だった私はもちろん断った。


当時私が通ってたのは中高一貫校で、彼はその高等部の一年だった。


噂なんて尾ひれを引いてだんだん有りもしない話になるもの。


結局、何がどうしてそうなったのかは知らないけれど私が調子に乗ってるように周りに思われるような内容になって広まってしまった。


それ以来、また物がなくなるようになった。


彼は中等部高等部関係なく女子から人気で、下駄箱に手紙が入っていて高等部の先輩から呼び出されることも多くなっていったの。