「では、始め!!」
高橋先生の声で、相手が勢いよくこちらへ攻めてくる。
仕掛け技をするつもりね。
仕掛け技は、相手を待たずに自分から攻め入るという事。
真ん中をぐっと攻めることで、攻めが効いていれば相手の…つまり、私の竹刀がわずかに動くことでその動いた瞬間を狙う技。
でも、相手の気迫も、攻めの姿勢も、お母さんの方が格段に上。
あの鬼に比べたら、相手はただの子犬ね。
「ハァァァッ!!」
相手はきっと、私の剣先が下がったら面を、上がったら小手で攻めてくる。
だから……。
「すぅ………」
私は、わざと剣先を下げる。
そうすれば、相手は………。
「メェェェェン!!」
やっぱり!!
面を狙ってくるように仕向けたんだもの、予想通り!!


