「お、お前……」
「そのまま、そうしてて……ほしいな…なんて」
私は、そっと息をはいて目を閉じる。
すると、我妻君は私の髪をまたすき始めた。
私は、我妻君の膝の上に頭を乗せたまま、体を休める。
「お前さ、こんなボロボロになるまで無茶しすぎなんだよ」
「んー、そうかな……」
私は目を閉じたまま、返事を返す。
「本当、目が離せねー女」
我妻君が、少し切なげにそう呟いた気がした。
我妻君の手が、声が優しくて、甘えたくなる。
「我妻君……だけだよ……」
「あ?」
「こんな風に……甘えられるの………」
我妻君じゃなきゃ、たぶん頼ろうとは思わなかった。
「っ……そうか…よ……」
「うん……我妻君、また……ちょっと寝てもいい…?」
また、少し目を開けて、我妻君を見上げる。
すると、我妻君はいつもの呆れた顔じゃなくて、優しく笑みを浮かべて、私を見つめていた。


