ーサラリ
髪を撫でられる感覚で、私の意識が浮上してくる。
あれ、誰かが髪に触ってる…。
「うぅ………っ」
あぁ、でも目が開けられない…。
なんというか、その手が気持ちよかった。
「どんだけ体当たりなんだよ、お前は……」
あ……この声、我妻君だ。
我妻君、私の事助けてくれたんだ……。
「我妻君………」
私は、ゆっくりと重い瞼を持ち上げる。
すると、すぐ真上に我妻君の顔があった。
「お、おう……起きたか」
我妻君は、私の髪から手を離して、慌てたように私を見つめた。
そんな我妻君の手を、自分でも大胆だとは思ったが、自分から握った。


