「に、逃げ切れる自信がない……っ」

「あ?何してんだお前……」


項垂れるように目を瞑った途端、頭上から声が聞こえた。

え……誰?

どうしよう、もう見つかっちゃったの…?

あぁ、でも…一回座っちゃったから、もう動けそうにないや。


「だ…れ……?」

私は、ゆっくりと顔を上げる。

すると、見慣れたチョコレートのような濃い茶髪が視界に入る。


逆光で、相手の顔が暗くて良く見えないけど、これは…。


「あ…ずま君、どうしてここに…?」

「ここ、俺の教室だし、つか、それ俺の台詞だし」


呆れたような我妻君の声に、私は笑う。

そっか、ここ3年の教室の裏だもんね。

まさか、我妻君の教室の裏だとは……ということは、3年B組か。