「だっ……誰がいつお前を呼び捨てで呼んだよ?」
「照れない、照れない」
「照れてねーよ!!」
真っ赤な顔でむきになる我妻君に、私は笑ってしまう。
自分に、誰かをいじめたいというS気があったのは初めて知ったなぁ…。
「ったく、さっきは可愛いかったのによ……」
「え?」
我妻君は棚をあさって見つけた湿布を手に、私の前にドカッと座る。
「ほら、手出せ」
「うん」
私は、我妻君に右手を差し出す。
Yシャツの袖を捲って、我妻君は湿布を貼ってくれた。
それを見つめながら、私はポツリと呟く。
「助けてくれて、ありがとね…」
「…………………」
我妻君の手元を見つめたまま、お礼を言った。
そんな私を、我妻君が見つめている気配がする。
だけど、なんとなく気恥ずかしくて、我妻君の顔が見られない。


