「ったく、どこまで自分に無頓着なんだよ!」
「あ、あはは……」
苦笑いを浮かべてると、我妻君は手首から手を離して、私の背中に手を回す。
「保健室、それ、手当てしてもらうぞ」
「これくらい大丈……」
「大丈夫じゃねーよ。あんなぁ、そんな完璧な人間なんていねーんだよ。女なんだから、もっと体大事にしろよな」
呆れたように私を見つめる我妻君に、私は目を見開く。
完璧な人間なんていない……か。
我妻君は、私が完璧じゃなくても、こうして話していてくれる?
「まりあ様っ!!」
「あ……あなた、無事で良かったわ」
愛梨さんが、私の所へと駆け寄ってくる。
そして、涙目で頭を下げた。
「愛梨のせいで、本当に本当にごめんなさいっ!!」
「いや、愛梨さんのせいじゃないよ」
というより、私のせいでもある。
だって、私の事が無ければ、こんな危ない目に合わなかった。
なんというか、あそこで私が通りすぎなければ、大変な事になっていたのは確かだし。


