「一度、自分の懐に入れた人なんでしょ、傍にいるのが苦しくても、辛い思いするんだとしても、お互いそんなに求めあってるんだ、なら答えは1つ」


有谷君は、ビシッと人差し指を立てる。

そして、二ッと笑った。


「その胸にある、譲れない想いに忠実になればいいって、俺は思うよ」

「………私の中にある、譲れない……」


ー想い。

そう、いつも悩みながらも、変わらない想いがあった。

清人の傍にいたい、清人が……好き……。



「好き……」

「え……?」


有谷君は、少し驚いたように、私を見つめる。

私は、スッと胸に落ちてきた気持ちに、微笑む。

そして、有谷君を見上げた。


「私は、清人が好き……傍に、いたい」

「っ!!そう、すごく、良い顔してんね?」


有谷君は、そう言って私を手で作ったフィルムからのぞく。


「やっぱ、まりあ先輩って、最高に良い顔するよね。その顔させてるのが我妻先輩だって思うと、切ないけど」


「有谷君……有谷君のおかげで、気持ちがハッキリした。見えなくなっていた気持ちが、ちゃんと見えたよ」


私は、真っ直ぐ顔をあげて、有谷君を見つめる。