「まりあ様、それは私達が!!」

「重いですから!!」

「ううん、あなた達にはあなた達にしか出来ない事があるじゃない。私は、ここでは力仕事をやるから」


そう言って、ゴミ箱を持って教室を出る。


「やっぱり、まりあ様って優しいよね!!」

「綺麗で優しくて、聡明!!」

「文武両道で、まさにミスパーフェクト!」


そんな女子の声が聞こえたけど、私は聞こえなかった事にして、進んでいく。


「おーいっ!まりあ様ーっ!!」


廊下を歩いていると、後ろから名前を呼ばれた。

振り返ると、そこには猿君がいた。

 
「あれ、猿君?」

「まりあ様、ゴミ捨て?重そうだな、俺が持……」


そう言って私のゴミ箱をヒョイッと持ち上げたのは、猿君ではなくて、別の手だった。


えっ……?


びっくりして、視線をずらすと、向かい合う私と猿君の間に手を差し入れてゴミ箱を抱える、清人がいた。


「俺が持ってく、猿は用無しな」

「おーい清人ー!お前なぁ、嫉妬も大概にしろよ?」


そう言って呆れる猿君。

それよりも、私は清人の突然の登場に頭が、全ての思考を停止しそうになった。