「返事は今すんな、これからの俺を見てからにしてくれ」

「っ………」

「ありがとな、まりあ……」


そう言って悲しげに笑って、清人は名残惜しそうに私の手を離す。


私は、逃げるように早足でそこから離れる。


「バカみたい、あれじゃあ、戻るなんてもう無理ね」


「無理でも何でも、俺にはアイツしか考えらんねぇーんだよ。だから、絶対諦めるなんて無理なんだ」



後ろで、美樹さんと清人の声が聞こえた。



それに気づかないふりをして、足早に教室へと戻る。

弱い自分の心に、本当に嫌になる。

泣きそうになって、私はグッと力を入れて、前を見つめた。


ありがとうなんて、どうして?

私は、歩み寄ろうとする清人を振り払ったのに…。

あぁ、また私の弱い心が痛んだ。